政治経済

会社経営における危機管理

令和2年2月20日放送の虎ノ門ニュースは、有本香さんがコメンテーター、ゲストコメンテーターが元陸上自衛隊員の佐藤正久参議院議員だった。

今回は新型肺炎を題材にして危機管理とはいかにあるべきかという話があり、これは会社経営にもつながると思ったので、簡単にまとめてみることにした。

番組では今般の新型肺炎に対する政府の対応についての苦言があったり、このような場合にどのように対応すべきだったのか、ということの解説があった。

新型肺炎は今までになかった感染症なので、このように未経験の非常事態が起きた時、政府はどのように対応すべきだったのか、つまり政府の危機管理についての解説を非常に興味深く聞いた。

危機管理でまず大事なのは、危機をできるだけ大きく見積もって、その対策に、できるだけ大きな網をかけることだということだ。その上で、実情がわかってきたら、それに合わせてかけた網を小さくしていくということだ。

そうすることで、事態が拡大していくのが防げる。

やっちゃいけないのが、その逆で、危機を小さく見積もって、少しずつ対策をしていくということ。

そうすると、仮に対策ができていない部分があったとすると、対策できてないところから事態が拡大していき、事態を収拾できなくなってしまうことがあるからだ。

これだと終わりが見えなくて精神的ダメージも大きくなる。

洪水が起きて家に水が入ってくるかもしれないというのを考えてみるとわかりやすいだろう。

危機を大きく見積もって、例えば家がすっぽり埋まるくらいの洪水かも知れないと考えたとしよう。そうしたら、やることは一つで家を出て安全な場所に逃げることだ。

こうすれば、家や家財は失われても命は助かるし、仮に洪水が大したことがなくても、問題はない。

これに対して、例えばせいぜいひざ下くらいしか水が来ないだろうと考えたらどうだろう。

であれば、とりあえず入り口に土嚢でも積んでいればいいだろう、と言うことしかやらないかも知れない。

で、実際その程度で収まればいいのだが、それを超えて家に水が入り込んだらどうなるだろう。次第に上がる水かさに動揺し、やがては身の危険を感じめ、パニック状態に陥ってしまうかも知れない。

タイミングを失えば、外も水があふれ逃げることも出来ずに命を落としてしまう可能性もある。

話しは少しそれるがこれは戦争における逐次投入と同じ考えなのだ。

戦闘においては、戦力を少しずつ投入していくと、却って受けるダメージが大きくなるので、戦力を投入するなら一気に投入して、相手に与えるダメージを大きくする必要があるからだ。

10人対10人で戦うことを考えてみればよくわかると思う。

10人に対して逐次投入で1人ずつ相手にさせたとすると、その一人はコテンパンにやられるのは容易に想像できるはずだ。それを10回繰り返したら、相手はほぼノーダメージで、こっちは全滅してしまう。

それに対して、最初から10人を投入して10人対10人で戦えば、さすがに片方がノーダメージで、もう片方が全滅と言うことは考えられないだろう。

戦力の逐次投入がいけないのは、こういう訳だ。

日本が大東亜戦争で途中から劣勢になったのは、この戦力の逐次投入をやったからだという見方もあるらしい。興味のある人はぜひ勉強してみて欲しい。

会社経営においては、もちろん非常事態が起きないようにしていくことが一番大事なのは言うまでもないが、仮に未経験の事態が起きてしまった場合には、事態の見積もりをできるだけ大きくして、要は最悪の事態を想定して、対策を考える必要がある。

そして、実態が見えてきたら、それに応じて必要な対策に力をより入れるようにして、必要のない対策をやめていく必要があるということである。

滅多に起きることでもないし起きて欲しくもないので、心構えとして頭の片隅に置いておこうと思う。